サステナビリティ
~当社が抱える課題と、未来と社会の期待に応えるための取り組み~
サステナビリティに関する基本的な考え方
「サービス先端企業」という経営理念のもと、当社独自のノウハウ、経営資源、そして社員一人ひとりの経験を活かし、クレディセゾングループだからこそできる社会の発展・課題解決に向けて、日々の事業を通じて貢献することで、今よりもっと便利で豊かな持続可能な社会をつくっていきます。
決済データから個人のCO2排出量を可視化する
「SAISON CARD Digital for becoz」
カーボンニュートラル実現に向けたサポートを継続中
「SAISON CARD Digital for becoz」(以下、becoz card)は、CO2排出量の可視化を実現する国内初のクレジットカードとして2022年6月に発行開始し、今年で3周年を迎えました。
becoz cardはプラスチックカードを発行しないデジタルカード形式で、専用アプリ上でクレジットカード利用履歴に基づくCO2排出量を可視化することができます。個人の生活に“環境価値”という新しい判断基準を提案し、カーボンニュートラルなライフスタイルを送りたいと考える生活者を応援しています。
becoz card関係者インタビュー
- becoz cardは田中さんが経営企画部時代にサービスリリースされました。誕生までの背景や周囲の反応はいかがでしたか。
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2021年に、現在の事業パートナーであるDATAFLUCT社の新聞掲載記事を社長が目にしたことがきっかけで検討を開始しました。
DATAFLUCT社と協業することで、当社のビジネスとつながりがあるお客様と一緒にCO2排出削減に向けた取り組みができないかとサービスの開発を進めましたが、社内では時期尚早という意見もあり、なかなか協力を得られる状況ではなく、プロジェクトの道のりは決して平坦ではありませんでした。さまざまな難局を乗り越え、2022年6月にサービスをリリース後、「NIKKEI脱炭素アワード2022」(プロジェクト部門)の大賞と「Japan Financial Inno vation Award 2023」での大賞受賞により、社会的な評価を得ることができました。メディア取材の増加など認知度が向上し、持続可能な社会を実現するための一歩を踏み出すことができました。さまざまな難局を乗り越え、2022年6月にサービスをリリース後、「NIKKEI脱炭素アワード2022」(プロジェクト部門)の大賞と「Japan Financial Inno vation Award 2023」での大賞受賞により、社会的な評価を得ることができました。メディア取材の増加など認知度が向上し、持続可能な社会を実現するための一歩を踏み出すことができました。 - 髙橋さんは2024年度からエコビジネスタスクフォースに参加し、becoz cardに携わっていますね。
- 以前から環境問題には関心があり、3年前「気候変動問題に向き合うカード」が発表されたときは心が躍りましたし、日頃からチェックしていた社内公募で今回のタスクフォースを見つけたときは迷わず応募しました。タスクフォース内にはいくつかテーマがあり、「様々な可能性を秘めているのにまだまだ認知が足りずもったいない」と感じたbecoz cardを選択しました。チームメンバーと関わるにつれ、自分とメンバーの想いが同じ方向を向いていることを実感しています。
- becoz cardの調査分析を進める中で、何か気づきはありましたか。
- 興味深いのは、当社の他カードとは異なり、「30代以下の男性」に特に支持されていることです。若年層を含めた幅広い層の多様なライフスタイルに寄り添い、身近なツールであるカードを用いて環境への配慮を日常に取り入れていただくことは、意義深いと思います。
- 若松さんはサステナビリティ推進部の部長として、サステナビリティ推進委員会の事務局も務めていますが、今後はどんな展開をしていきたいですか。
- 環境問題に関心を持つ方が増える一方で、「何から始めればいいのか分からない」という声は今も変わらず聞こえてきます。becoz cardが3年前に誕生したのも、そうした方々の背中をそっと押して、行動を変えるきっかけを提供するためでした。「地球環境のために何か行動したい」という想いを支え続け、これからも一人でも多くの方とともに地球環境課題の解決に向け取り組んでいきます。
当社は、グローバルな視点と地域社会への貢献を両立しながら、次世代育成や多様性・包摂性(DE&I)を重視した取り組みを推進しています。
ポジティブ・インパクト創出のための取り組み
当社グループが2021年に事業を開始したインパクト投融資。翌年に組成された当初2名のチームは、5国籍5ロケーション、6名のチーム(エキスパート2名含む)に成長しており、ファイナンシャル・インクルージョンの実現を目指し、ポジティブ・インパクトの拡大を日々進めています。
インパクト・ESG推進は持続可能な
成長につながる
十分で適切な金融サービスが受けられない人々や企業(アンダーサーブド層)に金融サービスを提供するインパクト投融資。FinTech企業やマイクロファイナンス機関と連携しながら行うこの取り組みは、投融資先企業の持続可能な成長とESG強化の支援だけでなく、当社の成長にもつながります。情熱をもって社会変革を進める各国担当者が、取り組みへの想いを語ります。
- 私は各国のインパクト投融資業務を統括する立場として、これまではESGとインパクトの管理体制を築いてきました。ここからは、チームの人材育成と専門家の採用に注力するだけでなく、データに基づく意思決定による効率性向上や、変化する規制要件の管理、ビジネス戦略とクライアントニーズの両軸を満たす直接的な連携などを行い、インパクト創出に向けて真摯に取り組んでいきます。また近い将来、インパクト投融資の幅を広げ、業界内で私たちグループのリーダーシップを示したいとも考えています。昨年、社員の想いと企業文化の変化が映し出されたグローバル事業の共通の価値観「ミッション、ビジョン、バリュー(MVV)」を策定する際、“インパクト”を戦略的に組み込みました。インパクトが私たちの重要な柱の一つとなったことは、画期的だと感じています。
- 日本のインパクト市場は、資産運用額が1年で約2倍になり著しい変革を遂げています。私は、融資判断のためのデューデリジェンスにおいて、融資を通して人々の生活が変わることを目にするたび、インパクトは単なる指標ではなく、人生を変えるものだと実感します。女性起業家が初めての正式な資金調達を実現したり、私たちの支援で学校に通う子どもを見たりするたびに、ファイナンシャル・インクルージョンの力を感じています。
- 過去3年のインドネシアでのインパクト市場の変化は劇的で、ニッチな話題から国家課題として取り上げられるまでになりました。それに伴いプレーヤーも増え、国全体で盛り上がりを見せています。共感から始まり、好奇心を持ち続け、現状に挑戦すること。私はインパクトワークは理想と行動が交わる場所だと感じますし、同じ想いを持つ人がもっと必要です。今後もより強固なインパクトエコシステムを築いていきたいです。
- インドのインパクト市場は、規制環境が後押しをしていることもあり、グローバル市場を牽引しています。一方、多くの市場関係者にとってまだ比較的新しい概念であるため、その重要性を効果的に伝え、協力して取り組んでいくことは長い道のりです。戦略的なリスク管理ツールとして、長期的な価値創造のドライバーとしての重要な役割を認識してもらえるよう日々働きかけています。
- Kisetsu Saison Finance (India) Pvt. Ltd.がインドのノンバンクセクターで融資を行う中、もともと私は融資を受ける企業側の立場でしたが、同社に入社し融資を行う側となった今、ファイナンシャル・インクルージョンが人々の生活とコミュニティに与える変革の力を目の当たりにしています。借り手が直面する現実を常に意識することを忘れず、財務上の慎重さと測定可能なインパクト創造の間の慎重なバランスを取ることを心掛けています。
- インパクトに取り組む意義を考えたとき、社会や環境へのポジティブな影響に反対する人はいないでしょう。当社グループの強みである現実的で投融資家目線に立ったフレームワークと、ビジネス成長と拡大への野心を活かしながら、若く先見性のあるメンバーと、日系企業でありながらグローバルにビジネスを行う企業をサポートできることは、素晴らしい機会だと感じています。
※2024年3月末時点
ネットゼロ実現に向けて
持続可能な未来に向けて、企業活動における環境負荷の低減を加速するため「気候移行計画」を策定しました。
2050年度の温室効果ガス排出量ネットゼロの実現を目指して、取り組みを強化していきます。
次世代に向けた取り組み
クレディセゾンは、これからの未来を担う子どもたちから学生などさまざまな方を対象に、国内外でCSR活動や金融教育を実施しています。
また、次世代に自然を残す取り組みも、創業者の想いを引き継いで行っています。
CSR活動への積極的な取り組み(インド)
インド子会社のKisetsu Saison Finance (India) Pvt. Ltd.では、収益の一定割合を社会的責任を果たすために寄付しています。
2024年度に寄付をしたうちの一つのNGOでは、高齢者や女性・子どもが安全に過ごすことができる施設を運営しており、寄付を通して、30名の子どもたちが衛生的な環境で、健康に、安全に過ごすサポートができました。この施設に来るまでは不安な毎日を送っていた子どもたちが、将来の夢を持てるようになったと語る姿は非常に印象的でした。今後も積極的に支援先を増やしていきます。
金融教育への取り組み(日本・シンガポール)
当社は、日本のみならず、海外子会社も含め様々なステークホルダーに対し、次世代への金融教育を続けています。日本では、中高生向けに展開している「出張授業~SAISON TEACHER~」を中心に、当社社員が講師となる金融教育プログラムを提供しています(2025年3月末実績672回、受講者数約29,000名)。
2024年度は有志が集まり、社員の子どもが職場訪問をする「ウェルカムキッズデイ~おかねが成長するってホント?!~」を開催。小・中学生向けのオリジナルゲームを通して投資を体験することにより、お金を増やすことができる学びを提供しました。お金によって企業を応援できること、お金は成長していくことを体感したことで、参加者からは、子どもたちが投資に興味を持ったという感想も寄せられています。
赤城自然園 次世代に自然を残す取り組み(日本)
当社が運営する群馬県渋川市の赤城自然園は、雑木林を約40年かけて再生し、植生を整えながら生態系の維持に努めています。地下水を園内に配水して川や池を満たし森全体を潤すなど、生物多様性に配慮した森づくりと植物の保全、植栽を行っています。里山生態系が良好に維持されていることが調査結果からも確認され、生物多様性の保全にも貢献しています。森林セラピー基地にも認定されており、群馬県のネイチャーポジティブ推進プラットフォームのベストプラクティスにも選定されています。
人権に関する取り組み
当社では、「行動宣言・行動基準」を定め、人権の尊重を行動の原則の一つとしています。サービス先端企業という経営理念を実現するための基盤強化として、人権尊重の取り組みを進めながら、多様性を認め合う組織、社会づくりを目指しています。
2024年9月、課長職向けに「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)」について理解を深める研修を実施し、220名が参加しました。
2023年度には、全役員、部長職向けにも同内容の研修を実施しており、2025年度以降はその他の階層向けにも理解醸成に向けた施策を実施します。今後は社内向けの取り組みだけでなく人権デューデリジェンスを実施し、取り組みをより一層強化していきます。


