ペイメント事業担当役員インタビュー
プレミアム戦略とDXによる
強固な収益基盤の構築
取締役(兼)常務執行役員
全社法人営業戦略
ブランディング戦略部、セゾンAMEX事業部 管掌
(兼)セゾンAMEX事業部長
足利 駿二
2024年度、ペイメント事業はプレミアム戦略の加速と構造改革の推進により、収益性・成長性の両面で大きな成果を収めました。物価や賃金の上昇といったマクロ環境の変化が追い風となり、消費や投資に前向きな姿勢が広がる中で、プレミアムカードの拡充やリボルビング手数料率の見直しを実施し、事業単体での利益は過去最高水準を記録しています。2024年10月には「あとから分割」サービスを開始し、新たな顧客層の獲得にもつながりました。また、DX・AIの活用による業務効率化やコスト構造の見直しも進展し、持続可能な収益基盤の構築が着実に進んでいます。
2025年度は、カード未利用者へのサービス手数料導入により、利用意向の高い顧客層へのリーチを強化するほか、三井商業施設との提携カードを含めた三井不動産グループとの包括的な提携強化、TOHOシネマズにおける映画優待、DMMとの提携による「DMM JCBカード」発行、星野リゾートとの連携など、デジタルと情緒的価値の両面から顧客体験の向上に取り組んでいます。
成長戦略としては、ノンアセット領域の拡大を柱に、スルガ銀行との連携による中小企業向け融資・ファクタリングサービス、さらに保険・証券分野への展開を加速し、企業価値の持続的な向上を目指していきます。
中期経営計画・重点テーマ
プレミアム戦略の加速と構造改革によるコスト削減
ペイメント事業では、プレミアムカードの推進や付加価値の提供によるロイヤリティ向上と会員構造改革を目指す「プレミアム戦略」、商品性の見直しと並行したサービスに見合った手数料設計推進やリボルビング料率見直し等により収益率向上を図る「アセット・ノンアセット収益の拡大」を推進。コスト削減では、DX・AIを活用した業務の見直しによる「構造改革」を実行し、成長事業への人員再配置や臨時雇用の縮小を行うことで利益拡大を目指しています。

最新の取り組み進捗は決算説明会資料をご覧ください。
セゾン・パートナー経済圏から生まれる価値提供
当社はこれまで独立系ノンバンクである強みを活かし、さまざまな業種のパートナーとの提携カード発行やオリジナルサービスを提供してきました。2025年3月からは、当社発行カード会員様限定で、毎週木曜日に全国のTOHOシネマズでお好きな映画を1,200円(税込)で鑑賞できる新サービス「セゾンの木曜日」を開始しました。ALLセゾン会員を対象とした特典は今後も追加検討しており、「セゾン・パートナー経済圏」を活用し、機能的価値より感性の価値、セゾンらしさを追求したサービスを提供していきたいと考えています。
セゾンらしさを追求したサービス提供
映画を1,200円で楽しめる新サービス「セゾンの木曜日」は、当社会員様から非常に好評をいただいており、感性価値を重視した新しいサービスとして順調なスタートを切りました。映画鑑賞を通じて豊かな体験を提供し、会員の皆さまに特別な価値を感じていただけるサービスです。今後は、パートナー企業とのアライアンスをさらに強化し、セゾンならではのコンテンツや体験価値を一層充実させることで、ブランド価値の向上を目指していきます。

アライアンス営業部
竹下 由紀
プレミアム戦略による収益性向上
プレミアム戦略は、個人向けのゴールド以上の有料カード、個人事業主・SME向けカードを「プレミアムカード」と位置づけ、会員拡大を目指しています。プレミアムカード会員はその他のカードに比べて高稼動・高単価であることから収益性が高い傾向にあり、2024年度末時点でクレジットカード稼動会員に占めるプレミアムカード会員のシェアが約20%となっている中、利益は約45%を構成しており、利益率の向上に寄与しています。
利益拡大と会員基盤構築に向けた取り組み
当社はさまざまなパートナーとの提携も活用し会員基盤の拡大を進めると同時に、カードの特典・サービス改定を進め、収益拡大と顧客還元の取り組みを進めています。
DMM JCBカードをリリース
2025年7月、デジタルサービスをターゲットとした新しい提携戦略として「DMM JCBカード」をリリース。DMMポイント3%還元(サービス外利用は1%)の高還元率や、DMM GAMES人気作品とのコラボデザインを含む13種類のカードデザインなど、若年層を中心としたDMMユーザーに向け、カードをコアとした多様なサービスを提供します。
収益性向上に向けた商品性の見直し
お客様のニーズに合わせたカード特典の見直し・拡充と、サービスに見合った手数料設計の推進を進めています。2025年6月からはセゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス®・カードおよびセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードのサービスをリニューアルし、永久不滅ポイント付与率の引き上げ、デジタル・コンシェルジュサービス、新たな保険付帯などを追加したことに合わせて、年会費を改定しました。
アセット収益拡大に向けた取り組み
金融情勢の変化等も鑑み、2024年11月引き落とし分からセゾンブランドのリボ手数料率を最大18%に引き上げました。クレジットカード会員様のご理解をいただきながら進めることで、離反影響は想定よりも小さく、年間約90億円の収益積み上げを見込んでいます。

※「アメリカン・エキスプレス」は、アメリカン・エキスプレスの登録商標です。㈱クレディセゾンは、アメリカン・エキスプレス のライセンスに基づき使用しています。
DX・AIを活用した構造改革
採算性の低い業務の縮小・廃止や、DX・AIを活用した業務のスリム化を行うことで利益率の向上を目指しています。構造改革の推進により、
2023年4月時点で約4,000名いた人員は、2025年3月末時点で約3,300名(2年間で17.5%減)となり、成長事業への人員再配置が進んでいます。
構造改革が生み出す効果
「集約・断捨離・DX化・改善」サイクルの実行により構造改革の成果は着実に表れており、2023年4月~2025年3月までの2年間で25,500時間の業務削減を実現しています。
その一環として、ローコードツールを活用した内製開発を通じ、精算業務をはじめとする手作業や属人化業務の効率化を行い、価値創造業務に集中できる環境整備も進めています。事業部内で開発を進めることで迅速な対応や柔軟な改修が可能となり、業務改善の効果を現場で実感できた点が特に印象的でした。

戦略企画部構造改革DXグループ
加藤 さくら

