グローバル事業担当役員インタビュー

進化し続けるグローバル事業、
ビジネスの成長と社会課題への挑戦

取締役(兼)専務執行役員
グローバル事業全般執行
グローバル事業部、サステナビリティ推進部 管掌
(兼)グローバル事業部長

森 航介

進化の現在地──中期経営計画1年目の成果と挑戦

手応えとしてまず挙げられるのは、インドモデルを横展開し、2023年に事業を開始したブラジルとメキシコが、2024年度には成果が表れ始め着実に成長していることです。また、各国でマクロ環境やクレジット環境、リスクの動向が異なる中でも、分散したポートフォリオによって、環境が厳しい市場を他の市場の成長でカバーできるようになりました。さらに、インベストメント事業では、各国レンディング事業との連携によって、新たな提携につなげていく力が高まっています。こうしたポートフォリオの相互補完と事業間のシナジーによって、有機的な事業構造への進化を実感しています。

進化の現在地──中期経営計画1年目の成果と挑戦

手応えとしてまず挙げられるのは、インドモデルを横展開し、2023年に事業を開始したブラジルとメキシコが、2024年度には成果が表れ始め着実に成長していることです。また、各国でマクロ環境やクレジット環境、リスクの動向が異なる中でも、分散したポートフォリオによって、環境が厳しい市場を他の市場の成長でカバーできるようになりました。さらに、インベストメント事業では、各国レンディング事業との連携によって、新たな提携につなげていく力が高まっています。こうしたポートフォリオの相互補完と事業間のシナジーによって、有機的な事業構造への進化を実感しています。

2025年度は、既存事業の進化に注力しています。インドは強みを活かしたさらなる成長を目指し、ブラジルは次の成長フェーズへの移行を進めています。併せて、各国事業の成果と課題を見極めつつ、資本の再配分や事業リサイクルなど、柔軟にポートフォリオの見直しも進めていきます。
また、資金調達の多様化や資本効率の向上にも取り組み、グローバル全体で資本戦略を強化していく方針です。

変革を巻き起こすグローバル・トランスフォーメーション

グローバル・トランスフォーメーションは、当社のグローバル化を進めるための取り組みです。この取り組みで最も大切にしているのは、当社ならではのDNAを現地メンバーに根付かせ、それを仕組み化して再現性のあるものにしていくことです。この1年は特に、中期経営計画の共通目標の浸透とMission・Vision・Valuesの明文化により、各国拠点が自国の数字だけでなくグローバル全体の目標を強く意識したことで、一体感を持って事業に取り組むようになっています。
また、若手を中心とした多様な人材に、責任ある機会を与えることを重視しています。早くから重要な役割を担い、ゼロから事業を創る経験を積むことで、仕事への強いオーナーシップを育みます。こうした風土があるからこそ、グローバル全体の変革が着実に進み、人材やケイパビリティの横断的な活用も進んでいます。さらに組織運営の面では、シンガポールのIHQ※(国際統括本部)と本社が連携し、ガバナンスの強化に取り組んでいます。事業規模が拡大し進出国も増える中、IHQは「屋台骨」として体制強化を進めており、その一環として越常務を新たに迎えました。

「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」に向けて私たちが創出したい価値

社会課題の解決に事業として取り組むという私たちならではのやり方で、ファイナンシャル・インクルージョンの実現に貢献していきます。具体的には、FinTech事業者との提携を通じて、各国のエコシステムや市場に貢献し、ともに成長していくことを目指しています。また、進歩し続けるデジタルインフラやAIなどを最大限活用することで、今の時代だからこそできる方法で金融サービスを行き届かせていきます。私たちが金融という分野で進化を続けグローバルに認知されるようになることは、パートナーやお客様、社員といったあらゆるステークホルダーにとって大きな意義を持つと考えています。
グローバル事業の価値創出の鍵は、「グロース(Growth)」「リターン(Return)」「レジリエンス(Resilience)」の掛け算にあると考えています。
グロースの観点では、インドやブラジルといった成長マーケットでグループの成長をリードし、リターンでは、株主やお客様をはじめとするステークホルダーの期待に応えていきます。そして、規制や経済環境、ガバナンスに対してレジリエントであることも欠かせません。
今後もこれら3つを追求していくことで、私たちはクレディセゾンらしいグローバル事業を推進し、持続可能な社会の実現とビジネスの成長の両立を実現していきます。

※ IHQ:International Headquarters

グローバル事業の展開状況と利益成長

2014年に本格始動したグローバル事業は、十分で適切な金融サービスが受けられない人々や企業(アンダーサーブド層)に対し、現地化された金融サービスを提供することで、ファイナンシャル・インクルージョンの実現に取り組んでいます。事業を本格化させてから10年超の挑戦を経て、現在は7カ国に進出し、11の事業会社を展開しています。
インドをはじめ新たな進出国であるブラジルなど、各国での利益規模は拡大しており、2024年度は33億円の事業利益となりました。今後は事業利益目標200億円の達成を目指し、さらなる成長と事業の拡大に取り組んでいきます。

連結実績

グローバル事業を支えるIHQ(国際統括本部)

グローバル事業の拡大に向けた基盤整備や海外ガバナンス体制の強化のため、2022年4月、シンガポールのSaison International Pte. Ltd.をIHQとして設置しました。各国事業会社を横断的にサポートし、連携を強化しています。IHQには、会計・法務・人事・内部監査などのコーポレート部門のほか、事業開発やブランディングなど、機能ごとに専門性を持ったスペシャリスト人材が変革をリードし、事業を支えています。人材を拡充しながら機能強化を推進しており、2024年度からはIHQを中心とした海外拠点間の人材交流を活発化させ、人材育成と各国事業との連携強化を進めています。そして2025年度は特に、各国の事業成長に欠かせないガバナンス強化に向けた取り組みを加速させています。

越 和夫

常務執行役員
グローバル統括部 担当

越 和夫

各国事業の成長の基盤となるガバナンス

2025年4月、当社常務執行役員およびSaison InternationalのDirector 兼 Chief Governance Officerに就任し、グローバル事業拡大に伴う内部管理体制の構築を担当しています。前職の三菱UFJフィナンシャル・グループでは20年以上米国に駐在し、グローバルなガバナンス体制構築等を主導してきました。この経験を活かし、攻守のバランスを保って戦略を遂行する仕組み作りがガバナンスの要諦という考えのもと、組織全体がMission、Vision、Valuesの実現に努め、不確実性に対処して持続的に成功する強靭なビジネスの育成に寄与していきます。当社には、健全で責任ある成長を重んじる企業風土が培われていることを実感しており、グローバル事業のさらなる発展を確信しています。

越 和夫

常務執行役員
グローバル統括部 担当

越 和夫

Sarah McKensey

Saison International Pte. Ltd.
Global Head of People & Culture

Sarah McKensey

各国人材の力を引き出す人材戦略

Saison InternationalのPeople & Culture(人事部門)の責任者として、グローバル事業の拡大を戦略的に推進するための強固な基盤を築いています。2025年度以降、「エンゲージメントとパフォーマンスを高めるグローバル共通の環境整備」「成長を支えるリーダー・人材の育成」「誰もが活躍できるインクルージョンとコラボレーションの実現」「データを活用した人材体制強化」という4つの重点施策に取り組んでいます。これらの施策はクレディセゾンが「選ばれるパートナー」になるという志の実現に不可欠であり、全社員の成長と持続可能なグローバルインパクトの創出を目指していきます。

Sarah McKensey

Saison International Pte. Ltd.
Global Head of People & Culture

Sarah McKensey

グローバル事業の成長を牽引するインド事業

2019年に事業を開始したKisetsu Saison Finance (India) Pvt.Ltd.(以下、Credit Saison India)は、事業モデルについて段階的に多様化を推し進め、リスクを適切に管理しながら事業を急速に拡大してきました。顧客タイプに応じた4つのモデルを展開し、インド国内でのネットワークと債権残高を着実に拡大。2024年度末には、債権残高は約3,100億円に達しました。
2025年度は、ダイレクトレンディング※に引き続き注力するとともに、有担保ローン商品の拡大を図っていきます。引き続き、同社の強みである高度なリスク管理体制、豊富なテック人材、資金調達力、ガバナンス体制等を活かし、今後もグローバル事業の成長を力強く牽引していく基盤を構築していきます。

※ ダイレクトレンディング:直接貸付。エンベデッドファイナンスとブランチレンディングを指す

債権残高推移

強みである強固なリスク管理と与信

Credit Saison Indiaの社員数の約3割を占めるリスク管理チームが、プロダクトや顧客属性に応じた最適な与信手法を設計・運用することで、信用リスクの抑制を図っています。特に無担保融資の比率が高い同社においては、貸倒コストの管理が重要であり、高度なリスクモデルと市場や顧客の変化に柔軟に対応できる強固なモニタリング体制が、安定的かつ持続可能な与信運営を支えています。

資金調達の多様化

インド最大手の信用格付機関であるCRISIL社およびCARE社から取得した長期信用格付けAAAをもとに、現地で培った信用力を最大限に活用した資金調達を行っています。現在、インド国内外40の金融機関等からの借入・社債・CPの発行を通じて、資金調達の多様化を進めています。
2025年には、みずほ銀行からのECBローン(対外商業借入)のほか、シンガポール最大手のDBS銀行や台湾最大規模のCTBC銀行など国外有力銀行が参加するシンジケートローンによる借入も実行し、調達手法と調達先のさらなる拡充を図っています。

Presha Paragash

Credit Saison India
CEO

Presha Paragash

確かな基盤で、インドトップ10のノンバンクへ
─ CEOメッセージ

Presha Paragash

Credit Saison India
CEO

Presha Paragash

2024年度は、市場や規制の不確実性が続く中、RBI(インド中央銀行)から一部商品の債権に対する引当金積み増しの指導を受け、当社にとって厳しい対応を迫られる局面がありました。RBIと継続的で丁寧な対話を重ね、粘り強く対応を進めることで、適切な規制対応を徹底し、事業の持続的な成長を支えることができました。BtoB事業※1は安定的に利益を創出しており、BtoC事業※2の拡大を力強く後押ししています。BtoC事業では、高度な与信モデルとリアルタイムのモニタリング等によりリスクを抑えながら、より多くの顧客へ金融アクセスを提供するべく、支店ネットワークの拡充と提携先パートナーの増加を図っています。
紙の上に描いた構想からスタートしたこのノンバンクは、わずか5年で確かな事業基盤を築き上げ、規模拡大を進めています。私たちは、この成長の勢いを次のステージへとつなげるべく、「インドトップ10のノンバンク」を目指して走り続けます。革新的で、包摂的かつ誠実な金融ソリューションを通じて、インドの金融の未来を力強く支えていきます。

※1 BtoB事業:ホールセールレンディングとパートナーシップレンディングを指す
※2 BtoC事業:エンベデッドファイナンスとブランチレンディングを指す

Credit Saison India創立5周年記念イベント

Credit Saison India創立5周年記念イベント

インドに続く、成長市場としてのブラジル

Credit Saison Brazil 2023年初めに設立したCredit Saison Brazil Participações Ltda.(以下、Credit Saison Brazil)では現地FinTech事業者との提携を通じ、多様な分野・業態(教育、医療、四輪/二輪、不動産、サプライチェーン等)へ分散して貸付を行い、事業の安定性と成長性を確保しています。インドのステップ戦略で培った知見やノウハウを活かし、現地のニーズに合わせた金融サービスの提供を進めており、2025年3月末時点の残高は約80億円まで伸長。着実に事業を拡大しています。

  • 残高推移
  • Credit Saison Brazilで働くメンバー

    Credit Saison Brazilで働くメンバー

レンディング先一例

  • TerraMagna サンパウロ拠点のFinTech事業者。
    農家や農業用品の小売業者向けに金融商品を提供

  • Capim
歯科クリニックを通じて患者向けに後払い(BNPL)サービスを提供し、低所得者の医療費支払いを支援。
    3,000以上のクリニックと提携

インベストメント事業 グループ全体のシナジー創出へ

Saison Capital Pte. Ltd. Saison Capital Pte. Ltd.およびSaison Crypto Pte. Ltd.は、シンガポールを拠点にインド、東南アジア、ラテンアメリカ地域などのFinTech事業者や、BtoB 、eコマース、Web3分野における有望なスタートアップへの投資を行っています。スタートアップ投資を通じて構築したネットワークを活用して、ブラジル・メキシコではレンディング子会社の融資先のソーシングをサポート。インドではCredit Saison Indiaへ80社以上のスタートアップを紹介するなど、グループ全体のシナジー創出を狙う戦略的投資も始めています。 また、2025年3月には金融庁主催のJapan Fintech Week 2025 へ参画するとともに、クレディセゾン本社でサイドイベントを主催。同年5月には、前年度に引き続きバンコクで「ONCHAIN」イベントを開催。リアルワールドアセット(RWA)をめぐる最新動向や、伝統的な金融におけるブロックチェーン技術の活用に関する実践的な議論が交わされました。今後もイベントへの参加や開催に加え、メディア出演等の活動を戦略的に行い、グローバル投資家としての認知拡大を図っていきます。
クレディセゾン公式note「ONCHAIN」イベントに関する記事