ファイナンス事業担当役員インタビュー

新しい価値観の創造と
提供に向けて

取締役(兼)常務執行役員
ファイナンス事業部 管掌
(兼)ファイナンス事業部長

中山 直喜

当社およびセゾンファンデックスは、この10年間着実に伸長し続け、ファイナンス事業を主力事業に位置付けられるまで成長させており、2024年度のファイナンス事業利益は386億円、2014年度比で約3倍まで伸長しています。コア領域として、信用保証、不動産ファイナンス、住宅ローンのフラット35等を提供するほか、保証事業は国内の金融機関向けのフリーローン保証、2022年度から新しく始めた住宅ローン保証、また不動産ファイナンスでは個人の不動産投資ニーズに応えた資産形成ローン、不動産事業者向けの担保付きの融資、加えてSPC向けのノンリコースローンの提供や私募REIT等へのエクイティ出資と多岐にわたる領域でファイナンス事業を展開し、安定した投融資残高の積み増しと収益拡大を推進しています。
当社は常に現状に甘んずることなく、変化するマーケットや顧客ニーズに応えられる新しいファイナンス商品を提供してきました。「人生100年時代」を迎え「貯蓄から投資へ」の個人の資産形成ニーズが高まる中、ペイメント事業で築いてきたカード会員様を顧客基盤に、新しい成長ビジネスモデルを作り上げる必要があります。そこで出した一つの答えが2025年4月にリリースしたクレジットカード会社としては日本初の不動産セキュリティ・トークン「セゾンのスマート不動産投資」です。これまでファイナンス事業で培ってきた知見と実績を最大限活かせる新しいビジネス領域で、ペイメントの会員基盤×不動産金融ノウハウ×テクノロジーの融合という当社の強みを掛け合わせることにより、「少額から始められる手軽で、安定的な投資商品」として新サービスの提供を実現しました。「セゾンのスマート不動産投資」は一過性の商品ではなく、継続的にシリーズ化して販売を行う予定です。
常に多様化するマーケットニーズに応えられる、その先導役がファイナンス事業の果たす役割だと考えています。今後も強みである「新しい価値観の創造と提供」を続けることで、その役割を果たしていきます。

セゾンのスマート不動産投資

2025年4月、クレジットカード会社による日本初※の不動産セキュリティ・トークン「セゾンのスマート不動産投資」をローンチしました。これまでの不動産投資は、物件購入のためにまとまった初期投資が必要なため、一般的に資金に余裕がある方向けの投資方法と考えられていました。「セゾンのスマート不動産投資」は、不動産をデジタル証券として小口化することで、少額から始められる新しい不動産投資機会を提供し、幅広いお客様の資産形成をサポートします。

2025年4月リリース時点・公募型商品として・当社調べ

セゾンのスマート不動産投資 投資対象不動産一例

特集セゾンのスマート不動産投資
担当者インタビュー

左から

ファイナンス事業部
ファイナンス企画部
石井 芳幸
ファイナンス事業部
ストラクチャード
ファイナンス部
日髙 雄尉

セゾンのスマート不動産投資担当者インタビュー

左から

ファイナンス事業部
ファイナンス企画部
石井 芳幸
ファイナンス事業部
ストラクチャード
ファイナンス部
日髙 雄尉

セゾンのスマート不動産投資の組成に至った背景を教えてください

石井
若年層を中心に、老後の生活資金を年金だけに頼ることへの不安から、早期から積極的に資産形成に取り組む意識が高まっています。当社はこれまでにポイント運用やクレカ積立など、クレジットカード会員様向けに資産形成の機会を提供してきました。これらの取り組みをさらに発展させ、自ら投資商品を設計・開発することで、より直接的に資産形成を支援したいと考えました。
日髙
「新NISA(少額投資非課税制度)」の開始を機に個人による投資への関心が高まるなか、当社が保有する不動産関連アセットを活用し、当社のカード会員様に投資機会をもっと身近に感じてもらいたいという想いも商品開発に活かしています。

不動産セキュリティ・トークン(以下、ST)に参入することで目指す効果はどのようなことですか

石井 芳幸<

石井
ペイメント(カード決済)とファイナンス(資産形成や投資)の両方をカード会員様に提供することで、顧客のライフスタイル全体に関わることができ、より深い顧客エンゲージメントを実現します。これにより、顧客のロイヤリティが向上し、長期的な関係構築を可能にしていきます。
日髙
これまではカード決済や融資といった「点」でカード会員様と接点を持ってきましたが、今回のST商品の特性や、証券会社を通さず当社が直接販売する自己募集の手法を通じて、より広範な「面」の関係性を築けると考えています。従来の決済や生活資金ニーズにとどまらず、投資志向や資産形成への関心といった深層に踏み込んだ関係構築を目指していきたいです。
す。従来の決済や生活資金ニーズにとどまらず、投資志向や資産形成への関心といった深層に踏み込んだ関係構築を目指していきたいです。

カード会社初のST商品ですが、どんな特徴がありますか

日髙 雄尉

石井
投資商品の購入資金を永久不滅ポイントでも支払うことが可能です。日常のカード利用で貯めたポイントを資産形成に活用できますし、少額の現金で投資を始めることができるため、より多くのカード会員様が気軽に不動産投資を始めるきっかけになるのではと思います。
日髙
優先劣後構造を採用しています。特に当社が劣後部分を担っていることは、言い換えれば「我々自身も投資するに値する商品である」という意思表示であり、単に販売して終わるのではなく、投資家とリスクを分かち合い、ともに価値を育てていくという姿勢を示しています。

カード会員様の反応、販売実績はいかがですか

石井
申込出資者数は約2,000名を超え、その内、約半数の方が永久不滅ポイントを使用して購入いただきました。カード会員様に限定した募集であったにもかかわらず、想定を上回る結果となりました。少額から始められる、投資の敷居の低さと永久不滅ポイントを活用できる点が、投資へのハードルを下げ、多くの会員様にとって魅力的な要素となったと考えています。

今後の展開について教えてください

日髙
1号案件は幅広い投資家に安心して保有してもらえる商品設計を重視しましたが、投資家のニーズをキャッチしながら、より高いリスク・リターンの商品も視野に入れ、市場形成に貢献していきたいと考えています。リターンの選択肢が増えることで、投資家の多様なニーズに応える市場が形成されると思いますし、不動産STという商品を通して「金融の民主化」の推進を目指していきます。

中期経営計画・重点テーマグループビジネスによる利益の拡大と競争力の向上

ファイナンス事業は、グループ最大の成長ドライバーとして、今後も既存商品の安定的な収益を確保しつつ、資産効率性を重視したオフバランス比率の向上を進めながら事業基盤の拡大を図っています。
市場ニーズに応える商品の組成と、DXや営業力など当社の独自性ある強みを活かした顧客づくりを目指しています。

グループビジネスによる利益の拡大と競争力の向上

保証事業

提携金融機関が提供するローンの保証業務を行っています。
当社は1985年から無担保のフリーローン保証事業を開始し、提携金融機関は約400先まで拡大しました。2022年4月からは住宅ローン保証事業にも参入し、フリーローンとのクロスセルを進めるほか、2023年10月からはスルガ銀行との連携開始により残高を拡大しています。
セゾンファンデックスは不動産を担保に、フリーローン・事業性融資・不動産購入などの多様な資金ニーズへ長期保証で対応することで残高を拡大しています。当社との連携強化等により、提携金融機関は全国で48先(2025年3月末時点)となりました。

保証事業残高

不動産ファイナンス事業

当社は、個人・不動産事業者向けなど幅広いお客様のニーズに応えるサービス展開を進めています。
個人向けの投資用マンション購入ローンである資産形成ローンは、従来の長期プライムレート連動商品に加え、2024年8月からは短期プライムレート連動商品を追加しました。取扱高は拡大している一方、金利上昇局面において償還が進んでいることで残高は横ばいとなっています。
また、2023年11月から開始したスルガ銀行とのコラボレーションローンは残高が順調に拡大しています。スルガ銀行とは今後も両社のノウハウを活用しながら取り組みを推進していきます。
セゾンファンデックスは審査スピードや審査ノウハウを強みに、不動産投資や資金調達など多様な資金ニーズに対応する不動産担保ローン、不動産事業者向けに仕入れ資金を融資するプロジェクト融資を展開しており、Webプロモーション強化や既存取引先とのリレーション強化、新規提携先の拡大を推進することで残高を着実に伸ばしていきます。

不動産ファイナンス事業残高

※1資産形成ローン以外の法人/富裕層向けローン等も含めた不動産担保ローンとして表示

※2資産形成ローン 債権売却2021〜2022年度累計1,100億円

スルガ銀行との取り組み状況

2023年度に開始したスルガ銀行との資本業務提携は、ファイナンス領域、ペイメント領域を中心に両社のノウハウや人材活用により順調に進捗しています。2025年度からは独自の金融ソリューション提供に向けてより一層の取り組みを深耕しながら、お客様のあらゆる「困りごと」や「不※」にソリューションを提供する「Neo Finance Solution Company」を目指していきます。

不安・不便・不満など

Neo Finance Solution Company

セゾン×スルガ 交流人財の活躍例

2023年8月から開始した両社間の人財交流はさらに活発になっており、2025年4月末時点の交流人財は20名、開始当初からの延べ人数は27名まで伸長。両社のプロダクトや事業の相互理解を深め、グループとしての一体感を強めています。経営リソースの共同利活用を行うべく、今後も人財交流を加速度的に進め、事業活性化と取り組みの深化を図っていきます。

セゾン×スルガ 交流人財の活躍例

当社からスルガ銀行へ出向

出向後の約1年、インターネット支店で住宅ローン融資を担当したあと、現在は首都圏営業部 第三部所属となり、投資用不動産ローンの担当として投資家の方への融資や、販売・仲介業者への営業を担っています。投資用不動産の購入という長期的なライフプランに関わる大きな決断に関与し、お客様の人生設計に貢献できるのは大きなやりがいです。過去に担当した融資商品では、スピーディな融資判断を心掛けていましたが、現在の業務では不動産投資を「事業」として捉える視点がより強く必要であり、時間をかけてでも多角的なリスク分析を行う重要性を肌で感じました。
スルガ銀行には「顧客本位」でのサービス展開や商品開発、お客様に寄り添った対応や考え方が根付いているというクレディセゾンとの共通点を感じる一方で、銀行としてのコンプライアンス意識はひと際高いものがあり、働きかけや教育が徹底されていると感じました。この出向は私自身にとっても金融機関としての幅広い知見と経験を深める機会と捉えています。多様な視点を取り入れながら、自身のスキルアップに努めつつ、スルガ銀行の発展に貢献できるよう尽力していきたいと思います。

寺田 拓也

スルガ銀行㈱
首都圏・広域バンク
首都圏営業部 第三部

寺田 拓也