副社長メッセージ

必要なピースを一つずつ組み上げ、
持続的な企業価値向上へ

代表取締役(兼)副社長執行役員CHO
髙橋 直樹

GLOBAL NEO FINANCE COMPANYに向けて

当社は2030年に目指す姿として「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」を掲げていますが、この実現に必要なピースを暫時確保しつつあり、目指す姿を山の頂とすると4~5合目辺りに到達した印象です。
リテール向けノンバンクとして成長してきた当社が確保したいピースの一つが、銀行機能です。ファイナンスには、銀行法に基づく「バンク」と、貸金業法に基づく「ノンバンク」があり、それぞれ得意領域が異なります。お客様の利便性を考えると、バンクとノンバンクが連携し、ワンストップでスピーディにサービスを提供できる体制が理想です。そうした観点から、リテール分野に強みを持つ当社は、同じくリテールに強みを持つスルガ銀行と2023年5月に資本業務提携を結びました。国内では一般的にバンクがノンバンクに出資するケースが多い中、ノンバンクである当社がバンクに出資するのは国内初の取り組みでした。また、提携にあたっては過去の不正融資問題も含め、スルガ銀行のガバナンス体制や財務健全性などを慎重に精査しました。その結果、とりわけ、同行の財務は非常に堅固であると判断でき、バンク機能を確保するメリットは、レピュテーションリスクを大きく上回ると判断しました。

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GLOBAL NEO FINANCE COMPANYに向けて

当社は2030年に目指す姿として「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」を掲げていますが、この実現に必要なピースを暫時確保しつつあり、目指す姿を山の頂とすると4~5合目辺りに到達した印象です。
リテール向けノンバンクとして成長してきた当社が確保したいピースの一つが、銀行機能です。ファイナンスには、銀行法に基づく「バンク」と、貸金業法に基づく「ノンバンク」があり、それぞれ得意領域が異なります。お客様の利便性を考えると、バンクとノンバンクが連携し、ワンストップでスピーディにサービスを提供できる体制が理想です。そうした観点から、リテール分野に強みを持つ当社は、同じくリテールに強みを持つスルガ銀行と2023年5月に資本業務提携を結びました。国内では一般的にバンクがノンバンクに出資するケースが多い中、ノンバンクである当社がバンクに出資するのは国内初の取り組みでした。また、提携にあたっては過去の不正融資問題も含め、スルガ銀行のガバナンス体制や財務健全性などを慎重に精査しました。その結果、とりわけ、同行の財務は非常に堅固であると判断でき、バンク機能を確保するメリットは、レピュテーションリスクを大きく上回ると判断しました。

もう一つ重要なのはペイメント事業の強化です。ペイメント事業においては、金利上昇局面における調達コストの増加が収益を圧迫するという、構造的な課題が存在します。こうした課題を踏まえ、持続的に成長していくためには、ペイメント事業においてリボ払いや分割払いといったサービスを拡充し手数料収入による利益の拡大を図ることが重要だと考えています。
同時に、景気変動に左右されにくい収益基盤を確立するためには、デット(貸付)だけでなく、エクイティ(投資)によっても収益を上げられる体制の構築が必要です。こうした考えのもと、当社は国内独立系ファンドと共同でファンド事業を開始しました。メインターゲットは、SME(中小企業)です。事業再生や、事業承継に問題を抱える企業に対し、ハンズオンで関与しながら支援を行い、再生ファンド事業としての展開を図ります。たとえば過剰債務に陥った企業の再建支援や、後継者不足に直面する企業への事業承継などがその具体例です。
また、不況時には無担保・有担保を問わず不良債権が発生します。こうした状況にも対応ができるように、有担保債権についてはセゾンファンデックスグループのサービサー事業、無担保債権についてはセゾン債権回収がそれぞれ引き受ける体制を準備し、景気停滞期にも対応できる体制を構築しています。
証券ビジネスも重要なピースの一つです。証券ビジネスを手がけることは、当社の預り資産の拡大に寄与すると同時に、お客様のアセットを活用した手数料収入の機会にもなります。資産形成ローンに加え、会員の皆様の資産運用に資する幅広い金融商品の開発・提供にも注力していきます。
そして、これらの事業を展開する上で重要になるのがIFA事業(金融商品仲介業)です。米国では独立したFP(ファイナンシャルプランナー)が提供する資産運用アドバイスに対価を支払う文化が定着しています。日本におけるこの分野はまだ発展途上にありますが、当社の会員向けアンケートでは、資産運用アドバイスへの需要があることが確認できました。そこで当社は2022年に、独立系FPを多く抱えるブロードマインドと資本業務提携を締結しました。今後はセゾン投信の強化に加え、ブロードマインドを通じた将来的な手数料収益の拡大も目指します。
その他領域への参入も検討しており、これらピースを一つひとつ埋めることで、「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」の実現を図っていきます。

スルガ銀行との提携の成果

スルガ銀行とは、2023年度のファイナンス領域における連携開始以降、2025年6月末時点でコラボレーションローンの新規実行額が1,000億円を超えるなど順調に拡大しているほか、住宅ローン保証の残高も約250億円まで伸長しています。スルガ銀行の住宅ローンにはいくつかの特徴的な点があります。たとえば、永住権を持たない外国人への融資が可能であること、最長50年の融資期間に対応していること、さらには2億円超の高額融資にも対応できる点などです。こうした強みを活かし、当社は2024年3月より、銀行代理店業務の形でスルガ銀行の住宅ローンの取次も開始しています。
さらに、両社の相互送客によるシナジーも生まれています。スルガ銀行で審査が通らなかった案件を当社が引き受ける一方で、自宅を担保とする貸出など、当社では対応が難しい案件はスルガ銀行に紹介するなど、互いの機能を補完し合う連携が進んでいます。
ペイメント領域においては、スルガ銀行に「粘着性の高い預金」を積み上げたいというニーズがある中、2024年度からスルガ銀行の預金者向けに当社のAMEXカードの共同展開を開始しました。スルガ銀行口座をカードの引き落とし先とすることで粘着性を高める商品として活用いただき、現在は3,000件弱まで拡大しています。
両社の提携は人的交流の活発化という面でも進展しています。資本業務提携を実のあるものとするには、統一したプラットフォーム上に多様なサービスを展開していくことが不可欠です。当社とスルガ銀行には全国規模の顧客基盤を持ち、リテールに注力しているという共通点があり、企業文化にも親和性があります。そうした中で、両社の社員の一人ひとりが、資本業務提携の更なる成果を目指し、部門の枠を超えた連携に取り組み、シナジー創出への意識も着実に高まってきていると感じます。

企業価値向上のための2つの課題

当社が今後さらに企業価値を高めていくためには、2つの大切な課題があります。
一つは、BS(バランスシート)を重視した経営への移行です。長年、カード事業を中心にPL(損益計算書)主体の経営を行ってきましたが、金利上昇が見込まれる今後は、RORAやROE、ROICといった資産効率やWACCの観点から、事業ポートフォリオを再構築していく必要があります。加えて、既存の各事業の定量化されたリスクの見直しを適宜適切に実施し、それに基づいたリスクキャピタルの配賦を実現することで、既存の各事業の健全性を担保しつつ、新しい分野へ積極的に進出するため、当社の経営資源の再配分を機動的に実施していきます。
もう一つの課題は、社員の処遇改善です。業態転換を進める中では、従来のカード業界ではなく、金融業界や富裕層・SME向け事業を展開する企業との比較をもとに、処遇の適正化を進めていかなければなりません。2025年7月、ファントム・ストックを含めた決算賞与、約100万円を全社員に支給しましたが、優秀な人財を確保するにはなお不十分です。業態の変化に応じて人財像も変わるという認識のもと、既存社員の育成に加えて、中途採用のさらなる強化も図っていきます。

独自色の強い「緩やかな経済圏」

当社は、個人事業主や中小企業のオーナーといった富裕層・SME事業者をメインターゲットに、他の経済圏にはない独自の緩やかな経済圏を構築しています。これまでは会員層の拡大を目的に、多様な企業と幅広く提携を進めてきました。今後は、約3,300万人の会員基盤をさらに精査し、収益貢献度に応じて提供サービスにメリハリをつけることを検討しています。また、新たな提携先の開拓にあたっては、当社と同じターゲット層を持つ企業や顧客基盤を有しながらファイナンス機能を持たない企業に対して、バンクとノンバンクの両面からサービスを提供することで、双方にとってのWin-Winな関係を築いていきたいと考えています。

ステークホルダーの皆様へ

副社長写真当社には、株主・投資家をはじめ、お客様、社員、地域コミュニティ、行政当局など、さまざまなステークホルダーがいます。いずれのステークホルダーに対しても大切なことは、当社が何を考え、何をどう進めているのかを、分かりやすく丁寧にお伝えしていくことです。
今後も、皆様との対話を大切にしながら、分かりやすいコミュニケーションに努めてまいります。引き続き、当社へのご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。