会長メッセージ

顧客ニーズを起点とした
イノベーションで
人々の生活を豊かにする
社会インフラを
構築していく

代表取締役会長CEO
林野 宏

変化のうねりの中で
武器となるのはイノベーション

世界は今、一党独裁・国益至上主義の政権が相次いで誕生するなど、これまで以上に地政学、政治経済、価値観での分断が進みつつあります。こうした変化のうねりの中で日本の立ち位置を考えると、独自の歴史や文化に基づく価値観を背景に、多国間での協調を図ることで存在感を発揮していくことが重要です。たとえ政治が機能不全に陥っていたとしても、民間企業の力で、分断の解消や各種社会課題の解決が図れるとの期待もあります。
日本経済に目を向けると、1997年以降の経済成長率は約1%程度と、成長力としては先進国で最下位の状況が続いてきました。高齢化社会の進行は、人口減少とあいまってネガティブに捉えられがちです。しかし一見ネガティブな高齢化社会も、それを逆手にとったサービスを設計し、包摂的な金融サービスを提供すれば、日本らしい、日本発のアイデアが生まれる可能性を秘めています。

変化のうねりの中で
武器となるのはイノベーション

世界は今、一党独裁・国益至上主義の政権が相次いで誕生するなど、これまで以上に地政学、政治経済、価値観での分断が進みつつあります。こうした変化のうねりの中で日本の立ち位置を考えると、独自の歴史や文化に基づく価値観を背景に、多国間での協調を図ることで存在感を発揮していくことが重要です。たとえ政治が機能不全に陥っていたとしても、民間企業の力で、分断の解消や各種社会課題の解決が図れるとの期待もあります。
日本経済に目を向けると、1997年以降の経済成長率は約1%程度と、成長力としては先進国で最下位の状況が続いてきました。高齢化社会の進行は、人口減少とあいまってネガティブに捉えられがちです。しかし一見ネガティブな高齢化社会も、それを逆手にとったサービスを設計し、包摂的な金融サービスを提供すれば、日本らしい、日本発のアイデアが生まれる可能性を秘めています。

企業の本質は競争ですが、そのための大きな武器となるのがイノベーションです。クレディセゾンはこれまで、絶えず創造的破壊を繰り返し、革新的な金融サービスを生み出し成長してきました。そして金融インフラと豊かさの両面から、日本独自の価値を世界に提供することで、経済成長にも貢献してきました。日本経済も、新しい価値観や視点を取り入れ、国内GDPの約6割を占める個人消費が拡大すれば、これまでとは異なる次元で成長できるでしょう。そのキーとなるのがDXとAIであり、当社の果たしうる役割は非常に大きいと考えています。

価値観の共有を軸に新たな経済圏の成長を目指す

会長写真今は、経済圏競争の時代です。当社は2030年に「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」を標榜し、単なるファイナンスカンパニーの領域を超え、価値観を共有するパートナーと緩やかに連携した「セゾン・パートナー経済圏」の構築を目指していますが、この経済圏は、競合他社の進めるポイント競争を軸とした囲い込み型の経済圏とは異なります。むしろそれとは一線を画し、お客様ニーズを起点に、相互にギブ&テイクが成り立つ平等なイコールパートナーシップを軸に経済圏を成長させ、これをグローバルにも広げていきます。
注力するのは、BtoBビジネスです。日本国内のキャッシュレス比率は2024年度に政府目標の40%を超え、その8割をクレジットカードが占める結果となりましたが、企業間決済におけるクレジットカードシェアは圧倒的にまだ低い状況です。見方を変えれば、それだけ企業間決済には大きな伸びしろがあるということ。「アメリカン・エキスプレス」ブランド力を活かすことで、その拡大を図ります。
また、三井不動産、東急不動産、大和ハウス工業との協業のほか、400 近い金融機関との連携による信用保証事業も進めています。スルガ銀行との資本業務提携もそのような中で生まれました。今後もお客様の困りごとを起点に、バンクとノンバンクという両社のノウハウを融合させ、新たな金融サービスの創出を図ることで、金融分野の課題を解決し、サステナブルな社会の発展に貢献していきます。
グローバル事業は着実にアジア市場の開拓を進めてきました。なかでも2018年に当社単独出資で立ち上げたインドの子会社Kisetsu Saison Finance (India) Pvt. Ltd.は、単なるリテールではなく、審査、貸付、回収までをすべて自前で行い、勢いのある成長を続けています。フィンテック事業者との共同貸付をおこなうパートナーシップレンディングも手掛けており、アンダーサーブド層へのファイナンス手段の提供という金融包摂の観点からも、意義ある事業を展開しています。そのほか、SMEを対象とし、現地の中小企業の発展を支えている点で、地域経済の成長にも寄与しています。インドで成功したこのビジネスモデルを、ブラジル、メキシコなどにも本格的に水平展開していきます。

※ 適切な金融サービスが受けられない人々や企業

「夢中力」と「人間力」で未来を切り開く

私はこうしたイノベーションを生み出すために、失敗を恐れず、挑戦する人材を登用し企業風土の醸成に取り組んできました。クレディセゾンには「誰かがなんとかしてくれる」というマインドや内向き志向ではなく、自由な発想による行動を後押しする機会が溢れています。経営の執行を水野社長に一任した今、私の仕事は、活躍できる人材の育成と、社員の意志を後押ししていくことです。企業のイノベーションと成長を加速するのは、多様な人材がもたらす異なる視点やアイデアです。そしてそうした自由な発想や新たな視点は、画一的な経歴からは生まれません。女性の活躍も、単に比率を高めるだけでなく、個の力を発揮しなければ組織として強くなれません。世界で「天才」として知られるような人の伝記を読むと、その裏ではとてつもない努力をしていることがわかります。それは努力というより、夢中になる力とも言えるでしょう。この「夢中力」を秘めた若手社員を積極的に登用することは、新しいエネルギーとダイナミズムを組織にもたらします。若い世代を信じて任せ、対話を重ねることが、イノベーションを生み出し続ける組織を次世代につなぐことになります。
また次世代の人材には、経済的な繁栄だけでなく、精神的な豊かさも求められます。デジタル社会だからこそ、「人間力」の重要性が一層高まっています。多様性への理解はもちろん、リベラルアーツ的素養に基づく倫理観や、社会課題に対する洞察力が不可欠です。そして、事業を通じて社会課題の解決を図るためには、「正解を出す力」も重要ですが、「問いを立てる力」がより重要になってくると考えます。

変革の先にある新たな成長へ向けて

経営理念「サービス先端企業」の「先端」や、「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」の「NEO」という言葉には、創造的革新をもって顧客価値を創出していくとの思いを込めています。社会に生じているギャップの中にこそ顧客ニーズがあり、私たちはそれを見極めることで数々のイノベーションを起こしてきました。スルガ銀行との資本業務提携も、それを象徴する一例です。私たちは、旧セゾングループ時代から継承してきたこのDNAを、クレディセゾングループのブランドとして、グローバルに広げていきます。
人々の生活を豊かにし、社会インフラとしての金融の姿を創ることこそが、クレディセゾンの社会的存在価値です。そして、これまで「信用」を創造するものだと定義されてきた「金融」を、データやサービスと融合させることで、人々の暮らしや豊かさを支え、より新しい形での社会インフラへと変革していきたいと考えています。